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2023.08.03(THU)-08.06(SUN) @IZUMO GALLERY

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友人の沈から「公演の応援コメント書いてもらえませんか?」と連絡が来たので二つ返事でOKした訳だが、一体どんなことを書けばいいのだろう?と少考した後、某映画の特設サイトの応援コメントなんかを参照してみると
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M・N(女優)

もう超面白可愛かったー!!デス!!
もっと観ていたいので一度と言わずまた「死んでみた」してほしい…デス!!
ハマった…んデス!!
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Mさんのキャラクタを考えればらしさ全開の文章かもしれないが、自分がこんな文を送ったら沈に「ダメだコイツ仕上がる前になんとかしないと」と通報されかねないので、左上の×ボタンを丁寧に押し、自分は自分らしい言葉を綴ろうと強く心に決めた。
ではいっちょ、活字嫌いの人間だったら卒倒するような応援コメントの域を超えたクソメンドクサ真っ黒長文をしたためてやろう、と。(そっち

 

沈から「おもち食べ放題する」と聞いた時はお、いいね。と思った。
俳優の自主企画というのはとても応援したくなる。

俳優って、現場では受け身になることが非常に多くて、それは例えば「ここの演技、こうやってくれませんか?」というディレクションを「される」ことだけでなく、企画単位でも「この作品に出てくれませんか?」というオファーを「受ける」側に立つことも非常に多い。
だからこそ逆に、受け身だけでなく例えば演技プランをガンガン持ち込んできたり、自分から出演の意志を示してくる人なんかが重宝されたりもする訳だけど、まぁ今はその話は置いといて。

そういった影響なのか、演劇の現場で走り続けていると自分が「本当にやりたいこと」を見失ってしまう、ということはままある。

演劇は集団芸術だから、自分がやりたいと思ってることの【純度】は、作品や共演者や制作面や他とのバランスを考えているうちに下がっていくのは割と当たり前で、そりゃ全員が全員やりたいこと100%でやってたらしっちゃかめっちゃかで成り立たない訳で、だからこそ座組全員のやりたいことの最大公約数を狙っていくような、お互いの妥協点を見つけていくような所が面白いところであり、同時に弱点でもあると思っている。

この「自分がやりたいこと」と「この集団がやりたいこと」の乖離がどれだけあるか、どこにあるのか、を確認出来るという効能もあるので自主企画というのは俳優個人にとって非常に良いものだと思う。

なんせ、何をやりたいか、誰とやりたいか、いつやりたいか、どのようにやりたいか、全部自分次第になるんだから。まぁその後にお金だなんだとちゃんと制約は出てくる訳だけど、考えつく段階では無限なのである。

【自主企画は宇宙だ】

 

こうやって途中に意味の分からない見出しを入れておけば、活字嫌い民も少しは溜飲を下げてくれるだろう。
話は続く。

自分の人生最推しの一人である富野由悠季氏の言葉にこんなものがある。

「人間の基本は9歳までの、当時は解決方法が見えなかった欲求で、それからは逃れられない。それが何だったか思い出せ!」

 

当てはまらない人ももちろんいるとは思うが、富野監督にとってそれは「宇宙旅行」だったらしく、その欲求が後に『機動戦士ガンダム』の制作に繋がったのかな、と想像する。

そんな中での『おもち食べ放題』
マジ最高。

 

おもち、食べ放題したら怒られるだろうな。太るし。あんた何個食べんの!って。
そもそも正月以外に食べるのってなんだか背徳感さえある。
総務省の家計調査によると、お餅への支出は12月末に集中していて、年間支出の実に6割を占めているらしい。ちょっと驚きのグラフなので「餅 売上 月別」で検索してみて欲しい。
そんな、正月に何人ものお年寄りを血祭りに上げるあの憎っくき餅の野郎をなんと8月に、あまつさえ食べ放題とな!けしからん!!僕はきな粉が好き!!!

『おもち食べ放題』
なんて自由で宇宙なんだろう。

 

そんな想いは全くこもっていないと思うが、自主企画の総称として非常にいいなと思った。
気持ちと言葉がしっかりと繋がっているように見える。(見えない

 

真面目な話に戻すと自分も、自分自身が本当にやりたいことに、まだコンテンツとして名前が付いて無かったものだから、皆さんに分かりやすいように便宜上「演劇」と添えて発表してきた訳だけど、活動しているうちにどうやらそれらは本当にやりたいこととは結構ズレてるぞ、ということに薄々気付き、それは自主企画をやってみることによってより鮮明になった。これは演劇のようでコントのようでまた違った自分自身の中にしかないとてもエポックメイキングなもの、なのだけど、名前はまだない。もっと原始的な欲求に依るものなのだろうなと思う。


目論見どおり応援コメントとはとても呼べない駄長文となってしまったが、この企画では沈ゆうこのそういったものが垣間見れるかもしれない、いやさ全く見れないかもしれない、そんな「おもち食べ放題」大いに期待したい。

あ、違う、大いに期待…デス!!

 

​塩原俊之・沈の友だち​
 

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